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1歩下がって見る

毎日、色んなお客様とお会いして、直接お話ししておりますが、つくづく「似合う」という感覚って複雑だなと思います。たとえ私がわかっていても、お客様が納得しなければ、それはベストなコンサルティングとは言えません。ただ理解するまでの時間には、やはり個人差があることは事実です。なぜなら、育った環境も違えば、その人の持った色や形に対する感覚もそれぞれ異なるからです。
また人には「好き」、「嫌い」という感情があります。特に色については、この好き嫌いがジャッジの邪魔をしてきます。座禅を組んで頭を空っぽにして瞑想を行おうとしても、慣れてないとなかなか無になれず、気づくと「お昼なに食べようかな~」、「彼、元気かな~?」なんてことに。私もたまにやってみるのですがダメですね。慣れないもので、すぐに雑念が過ぎり、空っぽになれたことはほとんどありません。
一見簡単なようで難しいというところが、似合うを知ることによく似ているとおもいます。
目に見えないことをカラダでしっかり感じられるようになるには、日々訓練しある程度の時間をかけ、経験を積んでいくことです。そこで初めてそこそこ力をキープし、安定した状態を保つことができるようになります。
色をみる力というのは、想像以上に労力を使います。たとえ一定の力をキープできるようになっても、時間をつくって、頭やカラダのトレーニングをしています。ベテランになっていけばいくほど、求められるものも大きくなり、それをキープするためには、やはりトレーニングの時間も自然と増えていきます。
私のメインコンサルでもある、カラー&スタイルコンサルティングは、いかに頭を空っぽにするかが鍵となります。ただ、スムーズにいくかそうでないかは、コンサルタントの力量はもちろんですが、これに加えて、みなさんがいかに自分を客観視できるかどうかも影響してきます。
「好きな色」は「似合う色」とは限らないと頭ではわかっていても、実際に鏡の前に座って色をのせていくと、「これ、好きな色です」「この色好きかも」みたいな発言をみなさん最低3回はおっしゃいます。私が「この色好きですか?」という質問をする前に、自分から口に出される方がほとんどです。
何をもって似合うというのかを、自分の中にストンと落とし込めるには、どうしてもある程度の知識と時間、そして経験が不可欠となってくるわけです。
そうは言っても、自分を客観的に見る作業というのは至難の業です。だからこそ日頃から意識して、1歩下がって自分を見ることをおすすめします。
私も毎日が勉強です。色や形を知るって、人生を楽しむ上でとても大切なことなのだと日々感じるからです。多少難しくても、知らないより知っていたほうがいいなってつくづく思います。
自分という存在が、まさしくこれに値するのかなって思います。
いつまでも「何が似合うかわからない!」、「似合う色なんてあるの?」といった迷路をさまよい続け、歳だけ重ねていくのは本当にもったいないことです。
まずはクローゼットの整理をして、そのあと実際にお店に行って見てみましょう。
クローゼットはあなたの人生を物語っているかもしれませんよ。