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救児の人々~医療にどこまで求めますか

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今日は、是非みなさんに読んでいただきたい1冊の素晴らしい書籍をご紹介致します。タイトルは「救児の人々~医療にどこまで求めますか」。著者の方は熊田梨恵さんとおっしゃいます。
実は熊田さん、私のお客様でもあります。昨年、私の拙著を手にしてくださり、またコンサルティングにもいらしてくださいました。
そんな熊田さんが書かれた書籍は、最先端新生児医療の現場で働く医療従事者や、その患者家族の姿を追ったルポルタージュで、「私達が医療にどこまで求めるのか、求めることが許されるのか」と問題提起しており、一昨年に話題になった、都立墨東病院で起こった妊婦の救急受け入れ不能問題を入口にして、赤ちゃんの救急医療について取材されています。
生まれたばかりの赤ちゃんが入る救急医療施設NICU(新生児集中治療管理室)は、なんと日本の赤ちゃんの30人に1人が必要としているんだとか。でもそのNICUのベッドが、どういうわけか今満杯状態になっているというのです。新しい赤ちゃんを受け入れることができなくて、結局妊婦さんも受け入れられない、という大変な事態が起こっているということでした。なぜそういうことが起きているのか…・・・。詳しくは書籍の中に書かれてあります。
ちょっと聞くと難しい話のようですが、この本は、そのNICUに入ることになった赤ちゃんのお母さんとのインタビューが会話形式で書かれているので、とても読みやすいです。また、お母さんたちだけでなく、NICUで働いているお医者さんやスタッフの声も書かれています。
中には、世間から許されない恋愛を経て、誰にも知らせないで赤ちゃんを産んだ結果、その子はNICUに入り、重度の障害を持ってしまった…。そんな私達とほとんど年齢が違わない若いお母さんの、切実な声も書いてありました。
「この子が助からなければよかったのにと思うことがある。そんな私は地獄に堕ちればいい」という涙の声も・・・・・・。
私たち自身が一体何を幸せと思い、不幸と思うのか…。呼吸器やたくさんのチューブを付けられた植物状態になっても、生きいていれば幸せと言えるのか…。生まれたばかりの赤ちゃんにたくさん針を差すことは「暴力」ではないのか、治療をやめることは「罪」なのか…。そんな、私達の死生観や倫理観を、もう一度考え直すことが必要だと熊田さんは訴えていて、「一人でも多くの方に読んでもらい、何かを考える『きっかけ』になれば」と書いてあります。
なかなか難しいテーマではありますが、私達がこれからどう生きるのか、ということに直結するテーマだと思います。実際私のお客様にも、医療側の方とお母さま方と両方いらっしゃいます。また私自身2年前に医療の現状を目の当たりにしたばかりです。他人事とは思えませんでした。
医療側、患者側、どちらも大切なことです。
このブログをご覧の方にも、ぜひとも一緒に考えていただけたら嬉しいと思います。
ちなみに著者の熊田梨恵さんは、「超」がつくほどお美しく、とっても素敵な女性です!
みなさんも応援してあげてください。
熊田さん、すばらしい本をありがとうございます。