シンプルこそ難しい

服を重ねていくレイヤードスタイルは、ファストファッションをまるでハイブランドのように魅せるためには欠かせません。正直このレイヤード、センスの良し悪しが丸出しです。一見おしゃれに見えるレイヤードスタイルですが、実際は、「お!」と思わせてくれる人もいれば、「残念・・・・・・」になっている人もいるのが現状です。
では、シンプルスタイルにすれば、おしゃれに見えるのか?というと、それは違います。
私はシンプルスタイルこそ、センスが出ると思っています。だってシンプルということは、それこそ“そのまま”ですから・・・・・・。
つまりレイヤードは、一着では物足りないアイテムをちょっとしたテクニックでおしゃれに見せるための錯覚を起こさせている、といってもいいかもしれません。一方シンプルな服は、それ一枚で素敵に見せてしまう要素が詰まっているもの、と言えます。
でもここで勘違いしてはいけません。
一枚で素敵に魅せられるかどうかは、その人に本当に似合っているかどうかで決まります。たとえどんなにいい物であっても、着る人に合っていなければ、服だけが頑張っているように見えてしまいます。
つまりシンプルな服を着こなすためには、自分に似合っているかを知っていることが条件であり、またそれをカッコよく着こなすためには、ある程度のセンスをもっていなければならないということになります。
ファッションは毎日のこと。
大人である私たちは、ただ好きなシルエットだから、好きなスタイルだからといった理由で服を選んでいくのは少し考えなくてはなりません。でないと、いつまでたっても、自分に何が似合うのかが見えてきません。
これは、女性だけでなく、男性にもいえること。
この秋は思い切って、
『好きだから』『ただなんとなく着ている』といった状態を見直してみる時間にしてもいいかもしれませんね。

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自分で自分を変えた女性

真昼間の街中で、「七江さん!」と呼ばれて振り向いた先にいるのは、見覚えのない女性でした。暫くポカンとしていると、その方は近寄ってきて「先生、お久しぶりです、Iです」とおっしゃったとき、え?と一瞬目をこすってしまいました。私の目の前に立っているIさんは、ものすごい変身を遂げており、まるで別人のように輝きを増していらっしゃいました。
私のところに初めていらしたIさんは、黒いパンツに白シャツが定番で、「私スターバックスの店員さんみたいですよね」と笑いながらお話しされていた顔が今でも印象的です。ヘアスタイルもショートヘアで、フェミニンというよりマニッシュというイメージが強かった方でした。5年ぶりの再会となり、30分だけカフェでお茶をしたのですが、私の前に座っている女性は、どっからどうみてもかつての彼女ではありません。髪がロングでしかもきれいにカールされ、とても色っぽいのです。私もタジタジ(笑)。ファションも女の象徴でも言えるワンピースをさらっと着こなし、9cmヒールを履いていました。
何気ない表情も、いたずらに微笑む顔も、すっかり変わってしまったIさん。彼女は「七江さんと出会って、いっぱいパワーをもらいました。七江さんからの言葉のお陰で自信をもてました。本当、先生と出会ってなかったらと思うと、ぞっとします。その節は本当にありがとうございました。先生のコンサル終了後も、継続は力なりということで、自分なりに努力を重ねてきました。どこまで変われるかわかりませんでしたが、まずはやってみなくちゃ!と思って必死にもがきました。で今に至ります。どうでしょうか?」
どうもこうもないです・・・・・・。
素晴らしいのひと言です。本当に素敵な女性になられたなって嬉しくて涙を流してしまいました。時々おハガキはもらっていたのですが、こんなにも自分美を確立させることができたとは、この仕事をしていて本当に良かったと思いました。
Iさんがうちに来たのはちょうど27歳になったころ。「ここまでなんとなく過ぎてきましたが、これから先どうなっていくのか見えなくて不安です。現状に耐えられないとか、そういったことは全くないのですが、自分を変えたい、自分は変われないかな?と思う毎日です。宜しくお願いいたします」これが彼女の最初のメッセージでした。
みなさんの中にも、どうしたいのか、どうしていくのがよいのか、漠然とした不安を抱えている人も多いと思います。でもね、それが人間なの。ってわたしは思うのです。
どんなに軸がしっかりしていても、人と会えば、場所に行けば、気持ちもゆらゆらと動きます。新しい悩みだって生まれてきます。でもそういったことの繰り返しが私たちを強くして、チャレンジさせ、進化させていくのではないでしょうか。
今回再会したIさんも、きっと途中何度もづまづき、転んでは這い上がってきたと思います。人はファッションもそうですし、生き方そのものも、ありとあらゆる経験を土台にいつしか自分のパターンとなって成長していくのかなと思います。
現在コンサルに通われている人の中にも、Iさん予備軍が沢山います。また5年後に私は昼下がりの街中で、驚きの声をあげてしまうのでしょうか。そのためにも私自身が輝き続けなくてはいけないですね。どこにいても気づいてもらえるために・・・・・・。